「ただいま、紅。……って、あら?蒼依ちゃん?久しぶりねぇ」
「お邪魔してます」
「まぁこんな大きくなって……ん?ちょっと紅?その子どうしたの?」
母さんは顔をしかめながら雪乃を指さす。やばい……どう説明しよう。
「あの雪だるまありましたよね。あの中から出てきたんです」
「おい蒼依、言うなよっ!」
「こういうのは素直に言うほうが許されるのよ」
えぇー……何そのワシントン的なやつ。
「いえ、これは紅が無理矢理連れ込んだに違いないわ」
「違うって!本当に蒼依の言うとおりなんだって!」
「……怪しいわ。でも蒼依ちゃんが言うならそうなんでしょうね……」
「実の息子を信じずに息子の幼馴染を信じるってどういうことだ……」
俺は嘆息しながらリビングのソファに腰掛ける。
すると母さんがそっと俺の右側に座ってくる。
「え、何」
「あんた、本当は蒼依ちゃんが来る前になんかしてたんじゃないの?」
「はぁ!?何もしてねぇって!」
「ほら、首にキスマークが」
「え!?マジで!?」
「嘘に決まってるじゃない。何焦ってんの?」
母さんが凄いニヤニヤしながら言う。もう何なんだよ……。
すると雪乃が俺の左側に座ってきた。そして腕に抱き着いてきた。
「……」
「え、急にどうした?」
まるで子猫のように俺に甘えてきた。何か撫でてほしいみたいだ。
俺は雪乃の頭を撫でる。すると雪乃は嬉しそうに目を細めた。
「よっぽど紅のことが気に入ったみたいね」
「さっきはトイレで大号泣してたのに」
「まあそれはいいとして。母さん、この子俺んちで面倒見ていいか……?」
「私はいいけど、紅。あんた変なことしないようにね?」
「言われなくてもしねぇよ」
俺は苦笑する。とりあえず雪乃を俺の家で面倒を見ることが決まった。