第二章 【魔女の勧誘】
「喋……った?」
「……?しゃべり、ますよ」
いやいやいや、喋りますよて。
「まさか、昨日のラノベの朗読で言葉覚えたのか?」
「らのべ……はい。昨夜の。おぼえました」
すげぇ……この子、本当に発達能力が優れてるな。そしてあの元気っ子っぽさはどこへやら。
しっかりとした敬語になっている。いや、ある意味成功か?
「よし……これで学校行けるな」
「はい!いきます!」
おお、良かった。喋れなかったら俺がとても苦労してたところだ。
「母さん、行ってくるよ。雪乃も一緒に」
「やっと行く気になったのね、あんた。行ってらっしゃい」
行く気になったのは雪乃が喋れるようになったからだよバーカ。
俺と雪乃は家を出て、学校へ向かった。
俺らは職員室へ向かい、何か色々書かされた。めんどくせ。
担任は男の先生で、平凡な顔。すぐ忘れそうな感じだ(要するにモブキャ(略))。文系の教科を担当してそうだな。まあどうでもいい。
担任は俺らに「教室に入ったら手短に自己紹介してな」と笑顔で一言。明るいなぁ。
教室に着くと、中からめっちゃ声聞こえた。どうやらもう転校生が来るという噂は広まっているらしい。
さて、俺はあの中からどれだけ友達が出来るんだか。雪乃には友達がいっぱい出来そうだな。
「そんじゃ、二人とも入ってもいいぞ」
先生が合図したので、俺らは教室に入る。
瞬間、歓声。主に、雪乃へ向けて。だろうな。
「うおおおおおおお!!!美少女!!銀髪美少女!!」
「外国人か!?それかハーフ!?ふぉおおおお!!」
「もう俺、彼女放ってもいい!!」
「ちょ、あんた何てこと言ってんのよバカ!」
「そーよ!リカが可哀相じゃない!!」
いい加減黙らんかお前ら……。すると一部の女子から「ねぇ、あの転校生ちょっとかっこよくない?」とか聞こえた気がしたが、気のせいだろう。
担任が俺らの名前を黒板に書く。そして俺らに自己紹介を促す。
「岸野紅です。よろしくお願いします」
「えと……、黒岸、雪乃、です。よろしく、ですっ」
クラスの全員が拍手をする。担任は「後ろの空いてる席に座ってくれ」と俺らに指示した。
良かった。雪乃と席は隣か。離れてたら雪乃何するか分からないし。
ちなみに蒼依も同じクラスだった。ある意味良かったな。
さて、これからどうなるんだか……。