雪乃の服を買うためにデパートへ行った。

 

ある意味こいつがついてきて良かったかもしれない。サイズとか全然分からないし。

 

まずは……ズボンとかスカートとかシャツとかかな。出歩いてもおかしくないような服装。

 

雪乃くらいの年ごろの子ってどんな服着るんだろう……。

 

こういうのって店員とかにオススメ聞いたら早いんだろうけど。

 

でも俺あんま人と話すのはなぁ。……うーん。いや、しかしこれから普通の学校生活を送るための第一歩だ。うん。……よし。

 

「あのー……」

 

「はい、何でしょう?」

 

「この子に似合う服とかってありますかね」

 

「あら、彼女さんですか?それなら可愛い服を買ってあげないといけませんね」

 

うわああああ!!違う!!この店員、すっげぇニヤニヤしてる!!怖い!

 

その店員は雪乃をまじまじと見るなり、一つ服を手に取った。

 

「こういう服などいかがですか?」

 

「何故にメイドなんですか!出歩いて恥ずかしくない服装にしてください!」

 

「絶対似合いますよ」

 

「似合うかもしれないけど、それはやめてくれ!」

 

まあ雪乃をオタクの道に連れて行こうとしてるから、ああいう服装もいいかもしれないが……とりあえず今欲しいのは普通の服だ。

 

何か雪乃、メイド服欲しそうだけど。でも我慢してもらおう。

 

「じゃあこれでどうですか?」

 

「おお……いいな、これ」

 

よくテレビでモデルが着てそうな、可愛らしい服だった。

 

フリル多めだけど。でもまたそこが可愛らしい。雪乃に似合いそうだ。

 

雪乃もまあまあ気に入ったようだし。

 

「試着してみるか?」

 

俺が尋ねると、雪乃は元気よく頷いた。そして試着室に入って行った。

 

この店員、ボケ入れるけど結構オシャレとか得意そうだなぁ。まあそりゃオシャレ得意じゃないと服とか売れないよな。

 

そんでもってこの店員すっげぇモデルみたいだ。体系とか顔とか。透き通った黒髪ロングに、豊満な胸。くびれた腰に、スラッと長い脚。そして整った顔。大人の女性を思わせるようなオーラが漂っている。

 

絶対この人、モテてるだろ。女子からも憧れをもたれてそうだな。

 

「何見てるんですか?」

 

「いえ、ボケかましてるけど、凄く綺麗だなと思いまして」

 

「前半は余計ですよ。でもありがとうございます。私は、貴方はイジリ甲斐があっていいと思います。私のS心がうずうずします」

 

「貴女は後半が余計ですね」

 

俺と店員が駄弁っている間に、雪乃が着替え終わった。つかいつの間に着替えれるようになったんだよこの子。


雪乃はカーテンを開ける。


「おお……いいじゃん」


めっちゃ可愛い。素直に可愛い。これで出歩いたら誰もが振り向きそうだな。


「どうです、私のセンス」


「意外ながらも素晴らしいです」


「ありがとうございます」


さて、これ買うか。雪乃、かなり喜んでるし。


俺は服を購入し、店を出ようとした。するとさっきの店員が声を掛けてきた。


「また買いに来てくださいね?」


「貴女と喋るのは楽しいので、また買いに来ますよ」


「ありがとうございました。またのご来店お待ちしております」


流石店員。最後のセリフもちゃんとできてるな。

 

俺と雪乃は店を出て、家路についた。