翌日。俺と雪乃は色んな人に「部活に入らないか」と誘われたが、一応断った。

 

そして放課後、昨日渡された地図を見ながら屋上へと向かった。

 

「……本当にあるじゃん」

 

屋上に一つの小屋のようなものがあった。多分紫崎先輩が言っていた教室だろう。

 

俺はドアをノックした。するとすぐに紫崎先輩が扉を開けた。

 

「どうぞ。ゆっくりしていってね」

 

「あ、はい……」

 

俺らは言われるがままにその小屋の中に入った。すると――

 

「あ、転校生くんじゃん!雪乃ちゃんもやっほー」

 

「こ、こんにちわ、です」

 

「望月さん?何でここに?」

 

「翠でええって。ウチ、ここの同好会に入っとるんよ」

 

そうだったのか……。まさか転校早々話しかけてきた人がこの異様な同好会に入っているとは。

 

ていうことは望月さん……いや、翠さんもゲームとかアニメに興味あんのかな。意外だ。

 

こんな可愛い女子にもオタクが居たなんて。でもそう考えたら紫崎先輩もあんな美人でモデルやってそうなのに、この同好会の部長だよな。

 

案外、オタクな人も多いのかもな。

 

「入っているというより、『顧問』してるわよね、『先生』?」

 

「……え?顧問?先生?」

 

「ばっ!な、何言っとるん、美愛!?」

 

ど、どういうことだ?翠さん、制服着てるし。見た目は普通の高校生だ。

 

でも顧問とか先生とか……。紫崎先輩は本当何を言っているんだ。

 

「紅くん、この人は列記とした先生よ。今までの高校生活が楽しすぎて、自らが高校生になりきってしまったという、何とも惨めな生活を送っているの。ちゃんと生徒に勉強は教えているけどね」

 

「惨めとか言うなやぁ……ウチ悲しくなるじゃん」

 

「み、翠先生は、可愛いので、だいじょうぶです」

 

「ありがとう、雪乃ちゃん良い子じゃ……。でももう先生言うてるなぁ」

 

翠先生……かよ。本当惨めだ。見た目が若くて良かったな。

 

「ほら先生、ちゃんと真面目な自己紹介してないのよね?」

 

「うん……。望月翠、教師、広島県出身……でも永遠の18歳!」

 

「先生?」

 

紫崎先輩がとてもドス黒いオーラを放ちながら満面の笑みを先生に向ける。こえぇ。

 

「す、すみません!でも年齢は言わん!」

 

だろうな。とりあえず20代前半と予想しておこう。

 

それより先生、広島県出身だったのか。だからあんなに方言が満載なのか。

 

「そういえば先輩、この同好会って何人所属してるんですか」

 

「私と後輩が一人だけかしらね。あとこの顧問だけよ」

 

「そうだったんですか。意外と少ないんですね」

 

多くても困るだろうけどな。

 

「多くても困るわよ。ちょっと色々あるし、ね」

 

うわ、俺のモノローグそのまま。てか「色々」って何だろう。ちょっと引っかかったが、そこまで気にしなかった。

 

俺と雪乃は5時半くらいまでその教室でゲームをして過ごした。